こんにちは、編集部の宮澤です。
 メンバーコラム、season2。今回の私のテーマは、前回のコラム でも触れた「これからの時代、誰もが50種類の仕事をするかもしれない」について、最近取り組んでいる仕事の一つを紹介します。

ソフトウェア開発とは真逆の、物品販売を始めた

 近年、物品販売に取り組んでいます。自分の趣味の一つは電子音楽/電子楽器。その電子楽器同士を接続する「MIDI」という規格の変換ケーブルを自社ブランドで販売しています。本業は、四六時中、画面に張り付いてコードを書くような仕事で、売るものはソフトウェアです。形のあるモノを売るというのは、それとは真逆の世界。大変さもあるけれど、手触り感のある仕事が楽しい。

自分自身の「困った」が起点

 その「変換ケーブル」をなぜ開発・販売することにしたかというと、私自身が「ケーブルを繋いだのに音が鳴らない」というトラブルに遭遇し困惑したからです。調べてみると「形状が同じなのに配線が違う」2種類のケーブルが流通していました。業界の都合で2種類が併存することになったようですが、何も知らない一般ユーザーが買ってみたら、自分の手持ちの機材には合わずに音が鳴らないというトラブルで困っている人の様子が、ショップのレビューやYouTubeなどに溢れていました。しかも結構な高値で売っている…自分の感覚的に原価はそんなに高くないだろう、という感覚がありました。
 そこで、自分用のものを手頃に入手するためと、あわよくば余剰分を売って利益が得られることを狙って、まとまった量を業者を探して作ってもらうことにしました。

ひと工夫して商品価値を上げる努力

 ただ作るだけだと、市場に溢れているよくわからない商品と区別がつかなくなってしまうので、2種類のケーブルにそれぞれわかりやすく「A」「B」のマーカーを付けました(差別化)。そして、一点ずつ全数検査(安心感)、さらには購入してくださったお客様からどんな機器で動作したか報告していただき、商品情報に含めて幅広く共有(さらなる安心感)。これらの工夫が効いているのか、大変好評です。

 商品単価が小さいので売上金額全体は大したことはないのですが、先日、大手楽器メーカー様の開発部からまとまった量の発注をいただき、これはひょっとするとさらに大きく跳ねるのでは?と淡い期待を抱いています。

パッケージングを考えるのも楽しい。
Amazonについたレビュー。都内の楽器店にもない?…営業せねば。

円安で物価高騰?海外にモノを売ればむしろ利幅は大きくなる

 国内だけでなく、海外向けの物販にも取り組んでいます。70年代〜90年代の日本の電子楽器や音響機器には世界中にファンがいて、ヴィンテージ品として人気があります。国内で状態の良い中古品を仕入れて、簡単な整備とクリーニングをして、気持ちよく使える状態のものを販売。これまでに10カ国以上に輸出しています。

 驚いたのは、国境をまたぐと値の付き方が全然違うということ。ジャンルにもよると思いますが、4〜5倍は普通。場合によってはそれ以上の価格で売れる場合もあります。言葉の壁、需給差、為替の影響もあるでしょう。

 コロナ禍には、航空便で一切荷物を送れなくなり、仕入れたのに売れない状態が続き困り果てましたが、面白いもので、その間にドル円相場は、当時105円ぐらいから、その後157円まで円安に。すると、手元に売れずに留まっていた機材の価値は、何もしていないのに1.5倍ぐらいになったのです。

 国境を越えるというのは、旅だけでなく、ビジネスにもおいても刺激に溢れています。

AI時代、好奇心を燃料に、実践知を積み重ねる

 そんな風に、新しい刺激を楽しみつつもやることがどんどん増えている気もしますが、思い付いたことを行動に移し、小さくとも成果に繋がっていく過程は気持ちの良いものです。

 AI時代には、実装力よりもアイデアに価値がある。そのアイデアの元になる好奇心が走り続けるための燃料。一つのことだけでなくいろんなことにチャレンジする。そこで得られる実践知は、結果的に本業であるソフトウェア開発、AIソリューション開発にもプラスに働くだろうと考えています。