
中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?
このコラムでは、中小企業診断士に寄せられる「よくあるお悩み相談」を10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介しています。
いよいよ最終回!第1位は…「忙しいのにお金が残らない」です!
経営が厳しい会社でも、なぜか忙しい
事業の経営が厳しいと聞くと、一般的には「売り上げが下がっているのだろうな」とか「お客さんが減っているのだろうな」と思われがちです。確かにそのとおりです。
一方で「時間はある程度余裕があるということでしょうか?」と尋ねると、かなり多くの場合
「そんなことはない」
「忙しい」
「忙しくて新しい取り組みをする時間がない」
と言います。
社員は一生懸命に仕事をしている、社長も目の前の仕事に誠実に向き合っている、だけどお金が残らない…
これは一体どういうことなのでしょうか?
忙しいのにお金が残らない実態を把握しよう
「忙しいのにお金が残らない」という原因は、大きく2つのケースに分類されます
①お金を生み出していない時間が長い(時間管理の問題)
当たり前のことですが、お金を生み出している時間が短いと時間の割にお金は残りません。小規模事業者さんや個人事業主の場合、意外とこうしたケースの方が多くいらっしゃいます。たとえば社長や社員が庶務や経理などバックオフィスと呼ばれる事務作業に過度に時間を取られる結果、顧客との接点が少なくなっていたり、商品を作ったりサービスを提供している時間が削られているというケースです。中には地域活動やボランティアに時間をとられ過ぎている方もいます。
地域貢献活動やボランティアは素晴らしいことなのですが、経営者の場合、バランスを崩すと全部だめになってしまいます。
②費やしている時間に対してお金が見合っていない(原価管理の問題)
こちらは費やしている材料代や人件費(時間)や設備代金といったコストを積み上げてみると、そもそも価格設定がコストと見合っていないというケースです。言い換えると割に合っていない商品・サービスを提供しているとも言えます。
コストは大きく分けるとⅰ材料代、ⅱ人件費、ⅲそれ以外の3種類に分けることが多いのですが、特に「人件費」で乖離することが多いです。
具体的なケースはこんな感じです。
販売価格10万円の商品・サービスを提供するのに、材料代3万円+外注費3万円+場所代1万円+人件費2万円=合計9万円だから利益は1万円できると思って一生懸命に提供していたものの
「1回5時間以上を費やしている準備と事後対応の時間をカウントしていなかった」
といった具合です。本当の意味で利益が出ていないパターンです。
「事業開始時に支出した設備代金の分をカウントしていなかった」という方もいらっしゃいます。
価格設定は本来、こうしたコストも考慮して設定する必要があります。もしこうしたコストを考慮すると単価が高額になり過ぎるなら、コストを削る(効率化する)か、数量をより多く売る工夫をするか、単価が高額になっても買ってもらえるようなアピールの方法を考える必要があります。
つけ加えると、コストを把握していないと「どれくらい売ればよいのか、いくら値上げをすればよいのか、どのくらいコストを削減すればよいのか」が数字で把握できず、やみくもな対応策しか考えられない状態に陥ってしまいます。
「思考」の時間を確保しよう
ではどうすればよいのか?業務効率化や売上アップの対応策は様々ですが、そもそも通常業務に追われているので「考える時間がない」「考える時間を確保する方法が問題だ」という前提の話に帰着します。
考える時間の確保については、次のスリーステップを行うだけでもかなり改善できます。
①1回で良いので何に何時間使っているのかを把握する
一ヶ月間1時間刻みで良いので、どんな作業にどのくらいの時間を費やしているか書き出してみましょう。
②ECRSの観点から業務内容を見直す
ECRSの観点とは次のイラストの様に、それぞれの業務を①なくせないか?②まとめられないか?③順番を変えられないか?④簡素化できないか?という順番で振り返ることです。
この順番は効果の大きい順番でもあるので、①~④の順番でぜひ取り組んでみてください

③ 何に取り組むか、意思決定する
現状を変化させないと「忙しいのにお金が残らない」状態から脱却できません。意思決定をしていただき、社員がいれば共有し、少しずつでも状況に変化を加えていってください。
まとめると「思考の時間を持つ」「思考の時間と作業の時間を分離する」ことが重要になります。忙しいのにお金が残らない小規模事業者さんは、えてして作業の時間に追われ続けている傾向が強いというのが相談窓口での印象です。
今日紹介した方法で少しでも会社の業務全体を俯瞰する「思考の時間」を確保して、地域社会にとってかけがいのない商品・サービスを時速可能な形で提供し続けていっていただければと思います。
今回のコラムで「相談窓口 よくあるお悩み相談トップ10」は終了になります。いかがでしょうか?少しでもお役に立てていただければ幸いです。それでは!
(文責)
みすゞ中小企業診断士事務所 内山拓巳
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