前回の、天龍峡農園の松尾真由美さんからご紹介頂いたのは、「遠山ふじ糸伝承の会」。

飯田市街地から、車で1時間程進んだ飯田市遠山郷で活動を行う「遠山ふじ糸伝承の会」は、
山藤の蔓から糸を紡ぐ「ふじ糸」の文化を伝承する事。
文化を紡ぎ、人が集まる場を作る事で人と人を繋いでいく事。
を大切にしながら会員の皆さんで、遠山にある藤を使って糸を紡ぎ、楽しみながらそれをこの地に残し伝えていく活動をされています。

ちなみに山藤とは文字通り、本州中部以西の山に生息しているフジ科の植物のこと。
私たちがお寺などで目にする、長い房の花を咲かせるフジは「ノダフジ」という種類で、山藤の花は、房が短いのも特徴だそうです。

この、山藤の蔓から繊維を取り、糸を紡いだものが「ふじ糸」と呼ばれています。

遠山郷には、今日まで伝承されている「藤姫物語」(https://fujiitonokai.jimdofree.com/遠山ふじ糸伝承の会/藤姫物語/)という逸話があり

「1600年代、遠山城下に百姓一揆が起きた時の事
お姫様が館から逃れ身を寄せた民家に、山藤の糸を紡いでお礼に置いて行った」

といった事が語られています。

そのお話に出てくる、本州中部以西の山に生息しているフジ科の植物である「山藤」で紡がれた糸である「ふじ糸」。
かつては生活の中の作業服として、そして祭事等の衣装に使われる織物を作る上で欠かせないものでした。

しかし、時代の中で「ふじ糸を紡ぐ」技術が遠山郷では忘れられようとしていたときに
この会の発起人である木下美奈子さんが、今もなお古くからの技法で藤糸を作り続けている丹後藤織り保存会さんへ通い学び
遠山に技術を持ち帰り、はじめたのがこの「遠山ふじ糸伝承の会」。

現在は、遠山郷を中心に集まった20名程の会員さんと共に
春過ぎの「藤伐り(ふじきり)」から始まり年間を通しての藤糸作りの活動や藤糸を使った創作活動と共に、ふじ糸を作る体験の受け入れを行っています。
コロナ禍で昨年の受け入れは難しい状況ではありましたが、例年であれば県内外からも体験や体験民泊に訪れる方がいらっしゃり、
地元の小学生の地域学習としても、好評で何年も続いているそうです。

「機械に任せてしまえば簡単にできる事を自分たちの足で山へ行き、気の遠くなる様な作業をする中で、歴史を学びながら自然に触れる事ができる。
かつて人々がどんな思いをしながら物を生み出していたのか。暮らしの中で使っていたのか。
原点に戻って自然や人の思いを大切にする事を知る事ができる。こういった事は、これからの世の中にきっと役に立つんじゃないか。」
そう話をしてくれたのは、会長の山崎徳蔵さん。

「それでもな、とてもじゃないけどこんな手間のかかる作業は俺には真似できね。
仲間を作って、楽しみながら一生懸命に活動をやっているのを見て、これは本当に凄い事をはじめたなあ。と思う。
自分たちの楽しみや満足だけで終わらせずに、関心を持ってくれている人たちにも文化や技術を介して遠山の自然や人に触れてもらう事は長続きするしいい事だと思っている。」

ふじ糸を使った、数多くのアイテムも生み出されていました。
飯田市で出生届や婚姻届を提出した際の記念品の一つにも決まり、作成されているものもあるそうです。

そして、この会の話を聞いていると皆さんが口にするのは「大変だけれど、楽しいのよ」という事。

会の皆で集まり作業する時は大変だけれど、休憩には皆で持ち寄ったものと共にお茶をする時間があったり
作った作品をお互いに見せ合い、お互いに先生になりながら作品を交えての会話も広がり
出来た作品を、友人にプレゼントすれば喜んで貰ったり、、、、。

遠山の自然の野の中にある物を生かす事で、たくさんの良いことや嬉しい事がある。
「ふじ糸が人を繋いでくれる」

そう言った思いを大切にしながら「遠山ふじ糸伝承の会」活動は行われています。

その会の活動は、ふじ糸に関することだけではなく、遠山の地を満喫しながら暮らしぶりを体験できる民泊も紹介していると言うことで
そちらもご案内して頂きました。

現在は、会長の山崎さんのお宅をはじめ3件で民泊が出来るそうです。
(写真は、広報担当のれいこさんのお宅。)

ふじ糸等を使って作られた素敵な作品がたくさん飾られた空間で過ごす事ができ、
民泊をした際には山菜を採ったり、自家製こんにゃくを作ったりする四季を感じたり、
遠山名物ジンギスカンのBBQをしたりとこの地を満喫する事もできるそうです!

そして、会長の徳蔵さん、妻の一代さんご夫婦の遠山での暮らしにもおじゃまさせて頂きました。

笑顔で迎えてくれた徳蔵さんが案内してくださったのは、まず全て斧で薪割りしていると言う大量の薪に囲まれた秘密基地の様なとても楽しい場所。

その場所の辺りにはたくさんのシイタケ。「こんな面白え事はねえんだよー。」と見せていただいたのは立派な丸太で作った日本ミツバチの巣箱。
他にも、野菜や果物をあちこちで作りながら
「口に入れるものばっかりでもあれだで。」と笑いながら、教えてくださった場所ではお花も育ててらっしゃいました。

そして、これから一面落花生を植えると言う畑へも連れて行って頂きました。
役場の職員として携わった遠山の河津桜が並ぶ遠山川の辺りを歩きながらの10分程の道。
普段から、健康の為にリアカー押しながら歩いて向かってるそう。

お孫さんや、遊びに来てくれたお客さんにも食べてもらうと言う落花生。
自分たちの食べるものだから、農薬は使わずに山から大量の落ち葉をとってきて作ったと言う土はとてもふかふかとしていました。

日本ミツバチも「やっているのは商売じゃないから、蜂が入ってくれたらありがとう。そうじゃなければまた来年よろしく。」
山に囲まれた土地なので畑をやるにもイノシシやサル、鳥なんかの外敵もたくさん。
それでも「それもまあ良いかなって思っている。どうやってあいつらと仲良くするか。ってその方が面白えで!一晩でイノシシにミョウガをゼロにされちゃった時はショックだったけどね。」
そんな事を言っていた徳蔵さん。

「俺は、この土地が好きでここに住んでいる。そして、永代人に住み続けて欲しい。そう思っている人間です。」
お話を聞きはじめた時に、何よりもまずそう話をしてくださった徳蔵さんの案内してくださる遠山の地は、
そこにある物を無理なく。しかし自然を大いに楽しみながら過ごしている所でした。

その後、ご自宅にもおじゃまして、お茶をご馳走になったのですが
自家製の落花生に、昨年採れた蜂蜜、椎茸の煮物やご友人にいただいたという柚餅子と言うひと手間もふた手間もかかる素敵なものが並んでいてどれも本当に美味しく。

そんな徳蔵さんのお家は、民泊も受け入れていて、ふじ糸を体験した人だけでなく魚釣りに来た人や、何度も遠山に足を運ぶ人たちが何度も通われているという、とても暖かい場所でした。

最後に、徳蔵さんに遠山の好きなところをお聞きすると
「春は山菜採って、夏には魚を釣りにいって、秋にはキノコ採りに行って、冬には薪作って。ここは一年中自然を楽しめるし、
標高差がある地形だから桜やキノコは長い間楽しめる最高の場所。昔は遠山から出ることに憧れて一度は離れたけれど、今はここに住める事が幸せ。」
そう教えてくださいました。

遠山ふじ糸伝承の会ホームページ
https://fujiitonokai.jimdofree.com


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