今回ご紹介をするのは、飯田市松尾地区在住、「真空管ラジオ再生工房」を営み、真空管ラジオの修理・展示販売を行いながら「真空管ラジオの魅力」を伝えている勝野薫さん。

「真空管ラジオは、昔から親しんできた私たち世代にとっては、懐かしさから。若者にとっては、インテリアとしての美しさから手に取る人が多い」というように、どの世代からも愛され、生活の中に存在としても音としてもしっくりと馴染むもの。

耳でも目でも楽しめる「真空管ラジオの魅力」について、お話を伺ってきました。

勝野さんのご自宅兼工房にお話を聞きにおじゃました際、やっぱり印象的だったのは、暮らしの中にインテリアとして溶け込んでいる数々の真空管ラジオでした。
(どれも、勝野さんが修理されてキレイに音の流れるものばかり。)

勝野さんの少年時代、茶の間の中心には真空管ラジオが置かれ、家族みんなでそこから流れる音楽やおしゃべりを聞いていたのだとか。
しかし、社会人になったころから、ラジオを聞く生活とは一度、距離ができてしまいます。そんな中、出張先の四国の骨董屋で出会ったのが、ビクター製の横行ダイヤル型の昔自宅で使っていたものに似た真空管ラジオ。懐かしさからグッと心を掴まれて、再び生活に真空管ラジオが戻ってきます。
それからというもの、生活に戻ってきたこのラジオの存在はどんどんと大きくなり、手に入れた数は300台を超えるようになりました。

中古の真空管ラジオは、数は多く出回っていても状態は様々。中には、ネズミが巣食ったような、大きく修理が必要なものも多くあるのだと、勝野さんは話します。
そんなふうに、決して状態が良いとは言えない物も、勝野さんは一つずつ、丁寧に修理を実施。 少年時代にはアマチュア無線を楽しんでいたという勝野さん、過去の知識や経験も生かしながら、大がかりな修理も独学で行っています。

はじめた当初は趣味の範囲で行っていた修理作業。11年前に販売をするようになってからは、電気製品として長期間安全に使えるような予防整備も欠かしません。細かな整備をして単に復活させるだけではなく、調度品として使って貰う為にも外見を整える様になったり、最近ではBluetooth内蔵のスピーカーとして新たな役割を付け加えてパワーアップしたものも精力的につくり出しています。

「その姿に興味を持ってくれたのか、技術を学びたいとやってくる門下生には、中学生の子もいるんですよ」(勝野さん)

パッと見たときに、惹かれる真空管ラジオのビジュアルですが、その魅力の最たるものは、なんとも言えない優しい「音質」。
高性能のスピーカーから流れてくる音とは違い、決してクリアでは無い、くぐもった音だからこそ、長時間でも疲れずに楽しむことができるのだといいます。
そして、スイッチを入れるとヒーター部分が徐々にオレンジ色に光る姿もまた、生きもののようで魅力的です。

そして、
「再生工房を営んでいるからこその楽しみといえば、長年倉庫で眠っていた言わば「死んだ状態」だったものを蘇らせる事。それから、自分が出向いて対面販売することで出会う人たちとの交流も喜びです」
と、勝野さん。

「修理したラジオは手塩にかけて育てた我が子のような存在。オークションサイトで売りに出せばすぐに落札されてお金にはなるけれど、それでは切ない。だからこそ、直接顔を見て販売できる場に出向いてお客さんと会話しながらの販売を行っている。そうやって出会ったお客さんとは、親戚の様な長い付き合いになってくるような方もいるんです」

そう語る表情からは、真空管ラジオを、そしてそこで出会った人たちを大切にする温かさを感じました。

忙しく真空管ラジオに向き合う勝野さんですが、飯田での暮らしについてのお話も伺いました。

飯田市と、住んでいる松尾地区の良い所は「あたたかい所」。
それは、人の「温かさ」も、気候の「暖かさ」も。

この温暖な場所でいま、勝野さんが取り組んでいるのはなんと「みかんの栽培」。
取り組み始めて3年になりますが、10個ほど収穫出来た年があったと思えば、今年はアゲハの幼虫に葉っぱを食べられて木が坊主になってしまったりと、課題は山積み。
それでも、
「露地栽培でみかん育つと分かれば信州でもこんな場所があるという『松尾ブランド』ができたら良いんじゃないの」
と、あくまでもその姿勢は前向きです。

そして、「温かい」というよりは「熱い」人々がいると感じられる松尾地区の魅力といえば80年続く運動会があること。
運動会にはなんと、3000人が集まり競い合い、綱引きやリレーといった王道の競技を応援合戦も交えながら熱く行われているそう。新型コロナウイルス感染症の影響で、2年は開催できていない地域には欠かせないビッグイベント。また再び開催されることを願っています。

勝野さんからのお話を聞くまでは、あまり馴染みのなかった真空管ラジオですが、お話も音色も、聴けば聴くほどに魅力あふれる存在。
私も一つ手に入れたいな。と思い、また勝野さんの元へと相談しに行きたいと考えているところです。

現在、勝野さんの真空管ラジオは「真空管ラジオの歩み展」として、阿智村にある「はゝき木館」で開催中。
会期は、11月29日まで。是非、紅葉と共にそちらもお楽しみください!

詳細はこちらから!
https://www.hahakigi-kan.com/カフェギャラリー/


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