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働く人と組織にとって安心できる仕組みを、地域に広げていきたい

――前回は中島さんが事業のベースになさっているEAP(従業員支援プログラム)や、外部相談窓口の役割について伺いましたが、実際の業務の流れについて、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

中島和子(以下、中島) 今、私は、必要に応じて、それぞれの専門家と連携しながら、おもに6つの段階において支援を行っています。

  1. ストレスチェック及び集団分析
  2. 個人面談
  3. 課題の可視化
  4. 職場環境改善
  5. 人材育成・定着支援

6 取り組みの振り返り・継続支援

ストレスチェックを実施する場合は、個人が特定されない形で集団分析を行います。集団分析をすると、仕事の負担感や、上司・同僚からの支援、職場の対人関係など、その組織が抱えている課題の傾向が見えてきます。その結果をひとつの手がかりとして、必要に応じて従業員への面談や、人事担当者・管理職へのヒアリングを行い、背景にある課題を整理していきます。それから、相談体制や人事制度など、組織の仕組みを整えるためのご提案を行ったりします。

 さらに、人材育成や定着支援にも継続的に関わり、働く人の安心と組織の成長につながるよう支援しています。その積み重ねが、結果として企業全体の生産性の向上にもつながっていくと考えています。

――人事担当者がこれらの業務をすべて担うと考えると、負担が大きすぎるなと感じます。

中島 そうですよね。先ほどもお伝えしたとおり、大企業では、人事部門や産業保健スタッフなどが役割を分担しながら従業員を支える体制が整っていることが多いです。一方中小企業では、人事担当者や管理職が、人に関するさまざまな課題を抱え込んでいるケースも少なくありません。

人間関係、メンタルヘルス、ハラスメント、離職・定着・復職支援など、企業が向き合う人の課題は年々複雑になっています。それらを限られた人員だけで対応することは大きな負担ですし、本来取り組むべき人材育成や組織づくりに十分な時間を割けない企業もあるようです。私がつくりたいのは、そうした負担を外部の専門家が一緒に担う仕組みです。すべてを任せていただくのではなく、必要な場面だけ専門家が関わることで、人事担当者や管理職は安心して本来の業務に集中できます。

また働く人にとっても、社内では話しにくい悩みを安心して相談できる第三者の相談窓口があることには大きな意味があります。たとえば、ハラスメント相談窓口を設置していても、「社内に知られてしまうのではないか」と不安を感じ相談をためらう方がいますから。私たちは相談内容の秘密を守りながら、必要な場合には、ご本人の意向を確認したうえで適切な支援や対応につなげることができます。私はこのように、働く人と組織、その両方にとって安心できる仕組みを地域に広げていきたいんです。

(プロフィール)
中島和子(なかじま・かずこ)
駒ヶ根市出身。大手メーカー勤務を経て帰郷し、ブライダルMCや行政の広報業務などに携わる。育児や介護などのライフイベントを経験した後、国家資格キャリアコンサルタントを取得。相談業務を通じて人の人生に深く関わる責任を実感し、精神保健福祉士、2級キャリアコンサルティング技能士を取得。企業・行政・教育機関などで相談業務や企業研修、セルフ・キャリアドックなどの実践を重ね、2025年8月に「一般社団法人Wellnest Links」を設立。同年開催の「飯田市起業家ビジネスプランコンペティション」において入賞。現在は愛知県名古屋市と飯田市を拠点に、企業研修や相談業務をはじめ、組織開発や職場風土づくりを通じて、働く人と組織の安心づくりに取り組んでいる。一般社団法人長野県キャリアコンサルタント協会理事、地域人事株式会社コンサルタント。

――ハラスメントの場合は特に、社外に相談窓口があると安心できそうです。「〇〇ハラ」という言葉をよく耳にしますが、実際、ハラスメントに悩む方は増えているのですか。

中島 はい。最近は、メンタルヘルスよりもハラスメント対策に関するご相談が多いですね。2026年10月からの法改正を受け、企業や行政機関には、カスタマーハラスメントへの対応がこれまで以上に求められるようになります。組織としての方針を明確にし、相談窓口や対応手順を整えること、被害を受けた職員や従業員を守ることなどが大切になります。

現在、私たちもカスタマーハラスメント対策に関するご相談をいただき、組織の方針やマニュアル作成、対応手順の整備、職員研修などのお手伝いをしています。今後も、メンタルヘルスとハラスメント対策を軸に、必要に応じて各分野の専門家と連携しながら、働く人と組織の両方を支えていきたいと考えています。

最近では研修が多いという中島さん。大人数を前に話すこともある研修では、司会業で培った経験も存分に活かされているはず。

女性がワクワクすれば、家庭も職場もきっとうまくいく

――中島さん個人として、今後の目標があれば教えてください。

中島 可能であればですが、飯田市と名古屋市の2拠点生活に憧れています。いま、まさに飯田と名古屋を行ったり来たりしていて大変なので、名古屋のほうにも拠点を作りたいと思っているところです。子育てもそろそろ手離れするタイミングなので。

――名古屋のほうにも拠点があれば、できることがさらに増えそうですね。事業に関してはいかがでしょうか。

中島 法改正も控えていますし、ストレスチェック・メンタルヘルス・ハラスメントに関する外部相談窓口としての体制作りに力を入れていきたいです。「困ったら中島さんに相談しよう」と頼られるようになれたらうれしいなと思います。

――今後、Wellnest Linksへの需要もさらに増していきそうです。ところで中島さんは、飯田市主催のイベント「働く女性のための交流会」にもファシリテーターとして関わっていらっしゃるのですね。

中島 はい。3年前より飯田市とともに実施している、女性向けの連続講座です。1年目は「企業に勤めている女性」、2年目は「介護や育児中の女性」とテーマごとに対象を絞って開催してきました。今年は求職者も含めて、広くこの地域で暮らす女性を対象としています。キャリアというと、仕事を思い浮かべる方も多いと思いますが、今は、子育てや介護、家事、地域での活動なども含め、その人が歩んできた人生全体を捉える考え方になってきています。ですから、働いているかどうかは関係なく、この地域の女性同士が横の繋がりを作る場にできたらいいなと。

今の働き方や立場だけにとらわれず、少し視野を広げてみると、やってみたら楽しいことってたくさんあるんですよね。できないと思っていたことでも「やろう」という意思があれば実現していくものですし。一人ひとりが生き生きと過ごすことが、家庭や職場、地域にもよい影響を与えていくのではないかと思っています。

中島さんがファシリテーターを務める連続講座「働く女性のための交流会」の様子。2026年は10月2日より全4回で開催される予定。気になる方は、ぜひご参加を!

――ご自身が主宰で?

――さまざまな経験をされてきた中島さんならではの視点だと感じます。全4回で、お金、働き方、美容など、各回とも興味深いテーマが設定されていますね。

中島 そうなんです。年齢や現在の働き方にかかわらず、この地域で暮らす女性が、人と繋がりながら、これからの生き方を前向きに考えられる場になればと思って企画しています。ぜひ多くの方にご参加いただきたいです!

実際の業務では、面談や研修を行う時間よりも、PCに向かって作業をする時間のほうが多いそう。

――では最後に、働くことに意欲的な女性に向けて、メッセージをお願いします。

中島 やりたいと思うことがあるなら、挑戦してみてほしいです。動き始めると、まわりの人が助けてくれますし、「これやりたいです」と言っていれば、「これやってみない?」と声かけてくれる人がきっと現れるはず。

私自身、人の繋がりでここまで来ることができたので、こんな私でもなんとかなるんだということを実感しています。私は、松下幸之助さんの「成功するまで続ける」という言葉が好きなんです。うまくいかないことがあっても、この言葉が本当なのかどうか、今、自分の人生を通して確かめているところです。いくつになっても、やってみたいことにワクワクしながら、一歩ずつ前に進めたらうれしいですね。そして、そんな思いを分かち合える仲間と出会えたら最高です。私もまだ歩き始めたばかりなので、これからも楽しみながら進んでいきたいと思っています。

――勇気が湧いてくるようなメッセージ、ありがとうございました。

(プロフィール)
中島和子(なかじま・かずこ)駒ヶ根市出身。大手メーカー勤務を経て帰郷し、ブライダルMCや行政の広報業務などに携わる。育児や介護などのライフイベントを経験した後、国家資格キャリアコンサルタントを取得。相談業務を通じて人の人生に深く関わる責任を実感し、精神保健福祉士、2級キャリアコンサルティング技能士を取得。企業・行政・教育機関などで相談業務や企業研修、セルフ・キャリアドックなどの実践を重ね、2025年8月に「一般社団法人Wellnest Links」を設立。同年開催の「飯田市起業家ビジネスプランコンペティション」において入賞。現在は愛知県名古屋市と飯田市を拠点に、企業研修や相談業務をはじめ、組織開発や職場風土づくりを通じて、働く人と組織の安心づくりに取り組んでいる。一般社団法人長野県キャリアコンサルタント協会理事、地域人事株式会社コンサルタント。
https://wellnest-links.com/