起業&移住した7年前の自分に伝えたいこと
玉木編集長からバトンを受け継ぎ編集部コラムの2本目を担当させていただく、編集部員の松元麻希です。伊那市を拠点にフリーランスのライターとして活動していて、今年の4月から副編集長としてi-PORT.Bizに携わることになりました。みなさまどうぞ、よろしくお願いします。
出生地は鹿児島県ですが、父親の仕事の都合で全国各地を数年ごとに転々としてきたため、いわゆる“ふるさと”と呼べる地域はありません。そんな私が信州で暮らし始めたのは2017年の年末。その年の夏に勤めていた都内の出版社を退職し、秋に個人事業主として起業、そして当時スキーに熱中していた私は「白馬にも東京にもアクセスしやすいから」という理由でウィンターシーズンの始まりとともに松本市へ移住しました。
2019年秋には、伊那市地域おこし協力隊への着任をきっかけに伊那市へやってきたので、伊那谷暮らしももうすぐ5年が経ちます。ライター業において私がおもに専門としている分野は登山なのですが、伊那谷は住めば住むほど魅力にあふれ、登山系ライターにとって刺激と学びの多い場所だと感じています。
さて、この編集部コラムでは仕事にまつわるエピソードをということですので……。参考になる方がいらっしゃるのかわかりませんが(笑)、私のフリーランスになりたての頃の失敗談をひとつお伝えしたいと思います。それはシンプルに「お金の心配をしなさすぎた」ということです。「最悪お金に困ったら山に籠ればいいか」という選択肢が自分のなかにうっすらあったためか、十分な資金もないくせに起業と移住を決行してしまいました。それゆえに移住後しばらくは文字通りの自転車操業で、毎月「来月どうしよう」と焦りながら過ごしていたことを思い出します。
会社員のときは毎月決まった日に決まった額の給料をいただいていたので考えたこともなかったのですが、いちフリーランスとしてギャランティを受け取る際、クライアントによって支払いサイトが違うから収入の計算が複雑になったり、納品してからギャランティが支払われるまでに半年以上空くこともあったりして資金繰りがまあ大変でした。
だからいま、あのころの私に伝えたいことは「ある程度の資金を貯めてから起業したほうがいいよ」ということと「起業も移住も自治体の助成金をできる限り活用したほうがいいよ」ということです。ちなみに飯田市には、入賞以上で奨励金がもらえる「起業家ビジネスコンペ」もあるし、都市部から移住する人に交付される「移住交付金」もあります。該当の方は、要チェックです!(笑)
恥ずかしながら私の失敗談をお伝えしてきましたが……。反省は大いにありながらも、こんな無計画なやり方でもなんとか生きてこられたということは自分にとって確かな自信になっています。会社勤めのころよりも、生命力は格段にアップしたはずです。また何年か後に「あのときの苦労があったから今がある」と振り返れるよう、与えられた仕事を粛々とこなしていきたいと思います。