新聞記事を4色ボールペンで“切り分ける”
こんにちは。ふくしま新聞店の“ふくたつ”こと福島達也です。
もうすぐ新年度が始まりますね。この春から社会人になる方や、新しい職場環境で働く方が増える季節です。これを機会に新聞を読もうと思っている方も多いかもしれません。
ただ、新聞を読むことは、その習慣が無い方には内容が難しくて頭に入ってこない場合があります。まるで大河ドラマを途中から観るように、物語の登場人物や背景を理解してないと世界に入り込めないのと一緒です。それに今は激動の時代。新聞の報道も、まるで韓流ドラマのようにスペクタクルの連続です。
では、この情報量が多く複雑化している現代において、私たちはどのように新聞などの情報を理解すれば良いのでしょうか?私がこれまでの経験から編み出したおすすめの方法は、「情報に補助線を引く」こと。具体的には、新聞記事に4色ボールペンで線を引きながら読み進めることで、情報が整理され、内容に対する理解力が格段に高まります。
そこで今回は、新聞と4色ボールペンを使って情報を整理することで、新聞報道の情報に対する“解像度”を上げる方法をお伝えします。筋トレのように、知的トレーニングとしてこの方法を続けていくことで、ビジネスの現場でも使える応用力が身につきます。なお、今回のコラムの内容は明治大学教授の齋藤孝さんの読書テクニック「3色ボールペン活用術」を参考にさせて頂きました。それでは、実際に私が普段行っている方法で順を追って説明していきます。
先ずは、新聞と4色ボールペンを用意します。4色の色は、黒・青・赤・緑とします。
そして新聞を開き、気になる読みたい記事を見つけます。
報道記事でも良いですが、トレーニングの意味で、その報道に対する「論評」や「コラム」の記事を選ぶのがベストです。ここでは仮に、その報道を「日銀の追加利上げ」としましょう。その記事には日付・新聞の銘柄を記入します。これは後から記事内容を活用する場合に備えた記録です。それでは実際に初めていきましょう。
黒色で段落ごとに囲み線を入れる
新聞記事に、先ずは4色ボールペンの黒色で、段落ごとに囲み線を入れましょう。難しい内容の記事もブロックとして区切ることで、段落ごとに内容が理解しやすくなります。例えるなら、大皿の料理を小皿に取り分けるようなイメージ。料理が食べやすくなるように、文字数が多い文章もグッと読みやすくなります。
緑色で単語に囲み線を入れて、意味を調べる
次に、4色ボールペンの緑色を使います。段落ごとに小分けにした文章の中で、単語ごとに緑色で囲み線を引きます。例えば「日銀の追加利上げ」でしたら、「日銀」に囲み線を入れて、「利上げ」に囲み線を入れます。そして、その単語ごとにその意味を調べてください。今はインターネットで簡単に検索できるので便利ですね。知っているようで、意外とその意味をきちんと理解できていないことに気づくはずです。「日銀」とは?「利上げ」とは?人間の脳は聞いたことがある、馴染みのある単語を知っている(理解している)と錯覚しがちです。ここをきちんとクリアにできれば、情報に対する解像度が全く違ってきます。この作業を情報に対して自分自身が真摯に向き合うトレーニングとして行いましょう。
青色でファクト(事実)に線を引く
続いて、4色ボールペンの青色を使います。
ここでは記事中の筆者の文章で、自分が情報として客観的事実であると思う箇所に青線を引きましょう。客観的事実、いわゆるエビデンスに基づいているという箇所です。具体的にはその文章にある「5W1H」・・(Whenいつ Whereどこで Who誰が What何を whyなぜ Howどのように)を意識して、青線を引きましょう。例えば、「日銀の追加利上げ」の記事であれば数字的な事実は大事ですし、その決定に至るまでの過程も押さえておきたい事実です。
赤色で新しい視点を獲得する
最後に、4色ボールペンの赤色を使います。記事中の筆者の文章で、今度は筆者の主義・主張、または筆者自身の視点に基づいている箇所に赤線を引きましょう。その論点に対して筆者が肯定か否定か、そこにフォ―カスすれば線は引きやすいでしょう。
ただ、私の方法では赤線の引き方を、一本線のバージョンと、二重線のバージョンに使い分けています。それぞれ意味があるので説明しますね。
まずは赤色の一本線のバージョンから。人間は生存的本能から、どうしても刺激の強い情報に反応してしまいます。(SMSや、人の噂話などもそうですね)しかし、そこにあえて自分で赤線を引くことで、自分と他人の意図が入った情報との間に文字通り、境界線を引くことができます。情報に対する注意喚起として、私は赤色の一本線を引きます。
赤色の二重線のバージョンはその記事の筆者独自の視点に感動した場合に使います。筆者の論評によって、自分が新しい視点を獲得できた、自分にとって有益だと感じた場合に使います。この赤色の一本線と二重線の使い分けは紙一重で、難しい面もあるのですが・・簡単に言えばその情報がポジティブかネガティブかということです。それにより自分の情報の感度を上げたり下げたり調節します。
たとえば、「日銀の追加利上げ」の論評記事であれば、筆者によって、その影響で株価が下がる、住宅ローン金利が上がり、企業の利払いの負担が増える・・とリスク管理からの視点でネガティブに捉えることもできます。私ならここで赤色の一本線を引きます。
その一方で、別の筆者の論評記事では、賃上げが進めば日銀はさらに利上げを進めるだろう。これからは人件費を抑制するコストカット型経営ではなく、人材に投資する付加価値型経営を進めるべきであり、これをチャンスと捉えるべきであると書いてあります。私ならその視点にポジティブな意味で赤色の二重線を引きます。
ビジネスの現場でも応用できる、4色ボールペンのメソッド
以上が私の4色ボールペンを使用した新聞報道の情報に対する解像度を上げる方法です。
実際にやってみるとわかるのですが、新聞がボールペンの色でグチャグチャになります。真剣にやれば、そこに何が書いてあったかわからないくらい汚くなります。でもそれで良いのです。これが新刊書籍であれば悲しくなりますが、新聞なのですから。使ってなんぼです。新聞を自分のビジネスの「トレーニング・ペーパー」と考えてはいかがでしょう。
最後になりますが、この方法は文章を読むだけでなく、ビジネスの現場で人の話を聞いたり、自分の考えを述べたりする場面でも役に立ちます。
たとえば、新入社員であれば入社式の社長の長い訓示が待っています。ただ社長の訓示も新聞記事と同じように構成に基づいています。段落ごとに区切ることを意識すれば、社長が何を伝えたいのか理解しやすくなります。
4色ボールペンの緑色で囲むように、ビジネス用語もわかったような気にならずに、一つ一つきちんと調べることが大切です。自分がその用語にきちんと理解していることで自信が生まれて、例えばプレゼンテーションをする場合にも説得力が生まれます。
また、社内で議論(ディスカッション)やブレーンストーミングをする場面でも、同僚の意見に対して、青色のボールペンを引くように、それがエビデンスに基づいているか冷静にチェックして落ち着いた生産的な議論をしましょう。または、赤色のボールペンを引くように、同僚の意見に対して具体的な箇所を「いいね!」しましょう。あなたに対する信頼が高まるはずです。
春から新しい挑戦をする方を応援しています。