こんにちは!いつもコラムを読んでいただきありがとうございます。
1回目の「自分がやりたいこと」2回目の「お客さんや取引先のこと」というテーマに続き、第3回目となる今回のテーマは「商品・サービスについて深く考えてみよう!」です。
「商品・サービスのテーマ」を明確にしよう
「その商品・サービスは、どんな人の、どんな悩み事を解決できるのか?」
前回のコラムの中で、こんな問いかけをしました。
商品・サービスを考えるときに陥りがちな罠として「先に商品の構成要素を考える」というものがあります。
例えば、
・地域活性化につながるB級グルメを開発しよう
・地元の特産品を使ったお菓子を開発しよう
・新しいIT技術を応用したビジネスを始めよう
・自分の得意なデザインで生計を立てるために、デザイン事務所を立ち上げよう
・空き家を活用して事業を始めよう
動機やきっかけとしては、どれも大切で素晴らしいことですが、具体的な商品・サービスを考える場面では、ちょっと立ち止まって、真逆の順番で考えることも大切です。
真逆の発想とは、こんな流れです。
①:商品・サービスのテーマ(コンセプト)を明確にする
どんなお客さんにどうなってもらいたいか?お客さんのどんな悩みを解決するのか?
商品・サービスを通じて、どうしてお客さんが喜ぶのか?満足してくれるのか?
=どのような効用を提供するのかを特徴的に表したテーマ(コンセプト)はなにか?
↓
②:①で明確にしたテーマ(コンセプト)の本質的な機能を明確にする
品質、効能、働きといった商品・サービスを構成する機能(水準)はどんなものか?
=商品・サービスのテーマを具体的に表現するために絶対に必要な機能・品質・働きは?
↓
③:商品・サービスの構成要素を具体化する
形、色、材料、技能、メニュー、パッケージ、ストーリー、成分、空間、デザイン、名前、納期対応力、取り付け、予約、クレジットなど
こうしてさまざまな要素を並べてみると、商品・サービス開発の場面ではどうしても③から考えがちということが、よくわかりますよね。
私もそうしたい気持ちは、とても共感できます。はっきり言って「その方が面白いから」です。
地域の食材、空き家、自分の得意な技術・・・すべて③に属するものです。
ボランティア活動として事業を行うならば、参加者の満足感も得られますし、何の問題もないと思います。ただし、お客さんからお金をいただくビジネスとして取り組むのならば、いちど冷静になって①→②→③の順で考えること、特に具体的な商品・サービスを考えるときは「自分たちのやりたいこと」と「お客さんが求めていること」をきっちり分けて考えるプロセスは必ず踏む必要があると思います。
商品・サービスの「価値」ってなんだろう?
突然ですが、ここで一つ事例を紹介します。
喫茶店の創業相談をお受けしたときのこと。その方はコーヒー1杯の価格設定に悩んでいました。
コーヒーといえば今の時代、喫茶店だけでなく、大手チェーン店やコンビニ、ファストフード店でも昔に比べてかなりレベルの高いものが安価で提供されていますね。
相談された方もそうした状況は重々承知しており、当初は「やはり同じくらいの価格にしないと商売にならないですよね」と最初はおっしゃっていました。
しかし、詳しく話を聞くと、その喫茶店で活用する建物は築150年の元庄屋の建物であり、ご自身も日本画の画家であり、絵に限らず文化・芸術を感じられる静かな空間の中でコーヒーを提供するお店なのです。さて、このコーヒーの価値は大手チェーン店やコンビニのコーヒーの価値と同じでしょうか?
違いますよね。この一杯のコーヒーには、築150年の元庄屋の空間を楽しめるという空間的価値、文化・芸術を感じながら日常から一歩離れてリラックスできる価値が含まれています。ちょっと大げさですが、このお店の商品は、もはやコーヒーではなく「ここでしか体験できない文化的でリラックスできる空間」になっているのです。
※ちなみにこの事例のお店は、以前ハジメマシテ、飯田のインタビュー記事でご紹介した「九如亭」さんです。九如亭オーナーの宮井さんありがとうございますm(__)m
九如亭の宮井さんへのインタビュー記事はこちら
九如亭ホームページ
マーケティングの本を見ると、事業を考える際に大切な要素として「差別化」や「高付加価値化」というキーワードが飛び交っています。けれど、第2回目のコラムのとおり「自分がやりたいこと」「自分ができること」「お客さんが求めているニーズ」について深く考えて、事業の骨格を明確にしていれば、無理をしなくても自然な流れで差別化や高付加価値化につながるポイントが見えてくることも多いものです。とくに個人事業主の場合は「自分自身やその周辺」に、そのポイントが潜んでいることが多いというのがこれまでの経験です。
価格設定の方法は色々ありますが、ぜひ空間的な価値、ストーリーなど「お客さんにとっての自分の事業の価値」についても考えて、お互いがハッピーになる「適性な価格」にしてあげてください。
もしも、自分自身で事業の価値が見出しにくいと感じたときは、周囲の信頼できる友人などに、ご自身や計画している事業の「強み(魅力)」について聞いてみるのもいいかもしれません。本人は自覚していなかった、意外なスペシャリティが見えてくるかもしれません!
今回のコラムは以上です!いかがでしたか?
次回は皆に忌み嫌われる「財務計画について」です。
財務と聞いて顔をしかめている皆さんのために、頑張ってコラムを準備しますのでご期待ください!ちなみに私は高校時代で一番苦手な科目は「数学」でした(´Д⊂ヽ
それでは~。