大事なのは「必ずできるという信念を持つ」こと

━━この度は、I-Port第11号支援決定事業の認定、おめでとうございます。

山嵜英行さん(以下、山嵜) ありがとうございます。こうして選んでいただけるのは嬉しいですね。責任感も増えて、頑張ろうと思えるきっかけにもなりました。

━━後ほどそちらの製品のお話もお聞かせください。まずは御社ではどのような事業をされているのかお伺いしてもよいでしょうか。

山嵜 弊社では、主に目に優しいLEDの面発光を利用した製品の開発や企画をおこなっています。お客様の要望に応じて、安心安全に関わる実用的な製品から照明看板、アートの分野まで幅広い製品を取り扱っているのが特徴です。最近では、I-Portで認定を受けた”高速道路における作業員の安全に関わる装置”に力を入れています。

LED面発光の表面

山嵜 LEDの面発光はこのような点の組み合わせでできているんです。街でよく見かける看板にも実は使われているんですよ。例えば、JRみどりの窓口カウンターの照明とか、見たことがあるでしょう? 東京の有名なビルの照明機器としても様々な企業からご使用いただいています。

テクノウェイブサンワの技術が使用された実績がずらり

━━見たことのある看板が多いです…! 御社では開発・企画の部分をおこなっているとのことですが、製造はどうされているのでしょう?

山嵜 地元の製造業の方に協力していただいています。飯田・下伊那の企業の皆さんと連携を取りながら、協力しあい製品が成り立っています。だいたい車で10〜15分くらいで行ける距離の企業ばかりです。

━━ その距離感も大事なのでしょうか?

山嵜 良い製品を作るためには、対面でコミュニケーションを取りながら、頻繁に話し合える距離感がとても大事だと思っています。どの企業も皆さんもそれぞれに素晴らしい技術をお持ちなんです。各々の得意な分野を活かして、良い持ち味を発揮してもらっています。弊社では地元の企業の皆さんとの連携は欠かせません。

代表取締役の山嵜英行さん

山嵜 あとは、弊社と地元企業との間には、南信州飯田産業センターのオーガナイザーさんがいらっしゃるんです。彼らも一緒になって打ち合わせに出ていただいたり、アドバイスや助言をいただけるので、非常に助かっています。

━━様々な分野の地元の皆さんと一丸となり、ひとつの製品を作り上げているのですね。

山嵜 おっしゃる通りです。やはり「こんな製品はいかがでしょう?」と提案をして、それが受け入れてもらえると嬉しいですよね。そうして、企業やオーガナイザーの方と相談しながら、知恵を出し合い、開発や企画をする作業がすごく好きです。

━━まるで発明家のようですね! 常に新しいことを考え、様々な製品を開発をされていますが、何か開発や企画をする上で心がけていることはありますか?

山嵜 必ずできるという信念を持つことですね。たとえバカにされても、自分なりのものをきちんと提案してみることが大事だと思っています。それは面白いね!となれば企業も応援してくれますから。

それから、わからないことは相談することです。困ったら「こういう分野について知りたいです!」と、いろんな人の知恵や力をお借りすれば、教えてもらえることも多いですし、案外これも大事なことだと思っています。

現場の声から生まれた安心安全の「しらすんだー」

━━では、御社の様々な製品の中でもI-Portの認定事業にも選ばれた高速道路作業者の安全装置に関するお話についてお伺いさせてください。

山嵜 こちらの製品が認定を受けた「しらすんだー」になります。現在、弊社としてメインで取り扱っている製品でもあります。

工事現場で実際に使用する「しらすんだー」が設置されたヘルメット

山嵜 高速道路を工事をする際は、1車線を規制して工事をするんです。なので、道も混んでしまったり、危険運転をしている方も多いんです。最近だと、大型トラックの運転手がスマホを見ながら運転していて工事現場に進入して事故になったり…。

このような危険運転は社会問題にもなっていますよね。そんな時に、以前からお付き合いのあった企業から高速道路作業者の安全装置が欲しいと、現場の声をいただいたんです。そこから改良を重ねて重ねて…ようやく完成しました。すぐにこれでいいよ!なんてことはないですからね(笑)

山嵜 でも、安全装置と言われてもあまりわからないですよね。実際に被ってみますか?その方がイメージしやすいと思いますよ。

━━ありがとうございます。ではお借りしますね。ヘルメットの横に小さな受信機があるんですね。

山嵜 ではこちらから合図を送りますね。(ピピピピピピー)

━━ヘルメットの先端が光って音が鳴りました…! でもこの光、眩しすぎず、作業中でもきちんと光っていることに気がつく絶妙な角度なんですね。この受信機も付けている感じがしないほどの軽さです。

山嵜 そうなんです。まずはこのヘルメットに装着する受信機の大きさを小さく軽くすることにこだわりました。実際の作業員の方の声を聞きながら、邪魔にならないようにスマートにするのが大変でしたね。100g以上だと重さを感じてしまうので、改良を重ねて現在は60gほどになっています。

山嵜 これまで培ってきた LED 関連の技術力を活用し、光の差し込む角度もこだわり、色味も目に優しい光となっています。

━━高速道路の工事現場で使用とのことですが、具体的にどのような場面で使用されるのでしょうか?

山嵜 高速道路の工事中、先頭の警備員が危険運転している車がないか目視でチェックしているんです。警備員の方に持っていただく旗に発信機を付け、万が一、不信な車が来た際に、ブザーを押すと遠く離れて作業をしている作業員のヘルメットにも危険信号の合図が音と光で届くようになっています。

先頭の作業員が持つ「からまんでー発信機」という旗

山嵜 その他、中継器を置いて遠くまで無線を飛ばせるようにしたり、夜間と昼用の発信機(旗とLED)を作ったり、様々な改良を重ねました。

これは「ラバコーン発信機」という、工事現場によくあるコーンの置物です。これが規制していると結構倒されちゃうんです。こちらも30度以上傾くと自動で作業員のヘルメットに危険信号が届くようにしました。

山嵜 このラバコーンは現場では20mおきに置いてあるでのすが、その間に車が突入してきた時に反応しないと意味がないということで、コーンの先端からセンサーで電波を飛ばし、そのレーザー光線が遮られると作業員に危険が知らされるようになっています。(新商品「みはるんだー(仮称)」)

これらの紹介した受信機、中継機、発信機を合わせて、「しらすんだー」という作業員の安全装置として製品化しました。瞬時に作業員全員に、危険を知らせることができるようになり、より安全を確保しやすくなったと喜ばれています。

━━現在も実際に、様々な現場で使われているのですね。

山嵜 はい。ありがたいことに、年々使用いただくことが増えていきましたね。私も高速道路を利用すると、つい目につきます。こういう時に、開発できて嬉しいなあって思いますね。

様々な分野のプロと照明技術で世界へ羽ばたきたい

━━ では、今後やってみたいことはありますか?

山嵜 たくさんありますよ(笑)。例えば、組子細工のアーティストとして活躍している塩澤正信さんという、高森在住の方がいらっしゃるんですね。実は今、その方の作品展示の際のバックライトとして弊社のLED面発光の技術を検討いただいているんです。この方は、総理大臣賞もいただいているような素晴らしい技術をお持ちで、そのような方の照明に関わらせていただけるのはとても光栄だと思っています。

こういった日本を代表する作品とのコラボレーションなど、様々な業種の方と関わり、弊社の照明技術が日本国内はもちろん世界に羽ばたいていけたらいいですよね。

山嵜 こちらもぜひご覧ください。ステンドグラスって窓ガラスにつけるイメージですよね。それをLEDの面発光の技術を利用して壁にも飾れるようにした作品がこちらです。


━━素敵ですね! よく見ていると色が変わるような気がします…。

山嵜 そうなんです! これは、バックライトで色が自然と変わるんです。日中の太陽光と夕方の温度色との変色性を入れていて強弱をつけるようにしています。こうすることで窓ガラスに付けなくても壁にかけながらステンドグラスを楽しむことができ、作家さんからも作品の幅が広がったと喜ばれています。

高速道路作業員の安全装置のような現場の声から生まれた製品から、こういった芸術やアートの分野まで、欲張りかもしれませんですがまだまだやりたいことがたくさんあるので、健康で長生きしないといけませんね(笑)。

━━これから生まれる新商品も含めて、ますますのご活躍が楽しみです。ありがとうございました。