長野県中小企業融資制度の「創業計画書」をモデルにしながら、事業計画書の書き方やお役立ち情報を紹介しているこのコラム。第4回目は「販売先・仕入先」です。

なぜ販売先・仕入先について説明を求められるの?

「販売先・仕入先の書き方はさすがにわかるよ!」と言われそうですが、いざ書こうとすると「販売先は一般客、仕入先は近所の小売店」といった説明にとどまっている計画書をよく見かけます。

販売先・仕入先に書く方々の名前は、言ってみれば商売を続けるにあたって「お取引先さま」になる方々です。商売をしていると「お取引先さま」の影響はとても大きく、とくに新しい事業を始める場合はしっかりと考えておく、あるいは事前に取引条件などを約束(交渉)しておくことが大切になるため、こういった計画書でも記載を求められます。

販売先・仕入先を考える時は「商流」を思い描いてみよう

販売先・仕入先を考える時に整理しやすい方法として「商流」を描いてみることをお勧めしています。「商流」とは商売の流れを図にしたもので、ビジネスモデル図ということもあります。たとえば菓子製造を行う会社の一般的な商流図を描くと次のような感じになります。


この商流図のよいところは「描きながらビジネスの内容を自分で理解し、アイデアを発想することができる」ことだと思います。たとえば次のようなことは、文字で考えるよりも図にした方が発想しやすいものです。

・仕入先は農家はじめ様々にあるが、独自のルートなどアピールできる点はあるか?

・外注先に頼んだ方がよい部分、頼まずに社内で頑張る部分の区別はどうするか?

・販売先は他にあるか?販売方法は他にあるか?またどこに一番力を注ぐのか?

「商流」を描くことによって、冷静に自分の商売が「いったいどの部分で価値を生み出しているのか」を理解することができます。また「仕入先の前の仕入先、販売先の後の販売先」まで描いておけば、最近ニュースなどで話題になっているサプライチェーン(供給網)の管理にも役立ちます。販売先や仕入先の人々の顔を想像しながら、ぜひ試しに描いてみてください。

「販売・受注予定額」と「回収方法」を記載する意味は?

 計画書には販売先・仕入先の名前を記入する欄の他に「販売・受注予定額」と「回収方法(現金、売掛、手形)」について記入する欄があります。これは何を聞きたいのでしょうか?実はこれが「資金繰り」に影響するポイントになっています。

 次の図は、材料を10万円で仕入れて、加工し、商品を15万円で販売する会社のお金の流れになります。仕入先は月末締翌月末払(ある月に収めた材料は一括し翌月末期限で請求されるという意味)、販売先は月末締翌々月払(ある月に受け取った商品は一括して翌々月末期限で代金を支払うという意味)だったとすると、仕入から販売までに1カ月の差が生じた場合、トータルで2カ月間も仕入代金10万円を立て替える必要が生じます。

 飲食店や美容室などの現金商売と呼ばれる商売を除いて、「回収方法」などの取引条件は大切な着眼点になります。とくに①取引金額が大きくなれば大きくなるほど影響してくる金額のインパクトが大きくなること、②取引条件は簡単には変更できないことが多いことを踏まえると、“最初が肝心”ということに気づいていただけると思います。取引条件は業種や業界によって異なりますが、こうしたトラブルを未然に防ぐ共通の方法として、きちんと「契約書」を結ぶことをお勧めしています。

なお、過剰在庫が悪いと言われる理由も、同じように立て替える期間が長くなり、資金繰りに悪い影響を及ぼすためです。上の図を見ていただければその仕組みを理解できるかと思います。

今回は以上です。いろいろ書きましたが「販売先・仕入先」は商売をするうえでの大切なパートナーになる方々です。ぜひ信頼関係を構築して、お互いにプラスになる商売を広げていきたいですね。次回は「必要な資金及び調達の方法」の説明になります。いよいよ苦手な人の多い財務計画の説明になります!お楽しみに!


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