2022年度よりはじまった、I-Port.bizのリアル起業家交流会「Challengers Meetup」。この第2回目がエス・バード(長野県飯田市)にて開催されました。
今回のテーマは、「飯田市起業家ビジネスプランコンペティション」。約20名の地域起業家のみなさんが集い、今回も多くの出会いと学びをもたらす場となりました。充実の内容の一部をレポートいたします!
【イベント報告】2回目のテーマは「ビジコン」。地域起業家の研鑽と交流の場に│I-Portビズ Challengers Meetup #2開催
ビジコン受賞者+飛び込み参加者も。合計7人がピッチでビジネスをプレゼン
去る6月18日、産業振興と人材育成の拠点「エス・バード」にて開催された、「Challengers MEET UP」。今年1月の第一回開催から約6ヶ月後であるこの日、約20名の起業家のみなさんが集いました。
司会はI-Portビズ編集チームのメンバーであり、コラム「ぼくたちの暮らしごとファイル」が好評のグラフィックデザイナーの渡邉捷揮さん(https://satomachigraph.com/)。飯田市工業課長からの挨拶のあと、今回も一人持ち時間7分のピッチ(短時間プレゼン)から早速スタートです。
第二回目のテーマは飯田市の起業家にとって恒例行事となりつつある「飯田市起業家ビジネスプランコンペティション(ビジコン)」とし、まずはこれまでのビジコン受賞者の先輩である3名のみなさんにピッチをお願いしました。さらに、一般からの参加者4名も加わり、それぞれが短い時間のなかでビジネスアイデアとそこに込める思い、課題や今後の展望などについて熱く語りました。
1:起業家ピッチ│ビジコン受賞者編
■紙バンドバッグブランド「ボンドガール」片桐さと子さん
主婦からの起業に夢中。「犬カゴ」など、ペット業界にも展開できれば
地域で始めた趣味の制作サークル活動をきっかけに、紙バンドを使用したバッグ制作で起業を果たした片桐さん。I-Port.bizでも、インタビュー記事にてじっくりとお話をうかがっています(https://i-port.biz/p/7432/)。
「買っていただけることが次へのやりがいにつながる」「販路の開拓は新しい世界を知ることができるきっかけ」とビジネスのやりがいを話す一方で、今後の展開としての事業拡大の方法についての課題も共有。ペット業界・バイク愛好家などへのアプローチといった展望を語り、「ハンドメイドで成功した人たちといっしょに、施設を開きたい。一主婦として始めた起業が、みなさんの勇気になれば」と、笑顔で締め括る姿が印象的でした。
講評を担当した日本政策金融公庫伊那支店長・山口栄さん(以下、山口さん)からは、「販路拡大はどなたも苦労する点。商品のターゲットをしっかりと設定することが良いのでは」、中小企業診断士でI-Portビズメンバーの内山拓巳さん(以下、内山さん)からは「経営者のみなさんがつい見失いがちな“ビジョン”を持っていらっしゃる点が素晴らしい。規模拡大の壁となる雇用については、まずは外注の協力者をみつけて連携するのがよいのでは」といったアドバイスが寄せられました。
■和菓子ブランド「増田和菓子店」増田佳世子さん
地域への感謝を和菓子に。菓子販売に加え、和菓子の「体験」を伝える場も広げたい
神奈川県川崎市生まれの増田さん。高校時代に友人から手づくりの菓子づくりをすすめられたことをきっかけに、京都で和菓子職人として修行の経験するも、結婚を機に退職し、「神奈川県で3人の子育てに追われる日々をすごしていた」と話します。
母の実家である飯田市三穂地区に家族で移住を果たしたのが2018年。これをきっかけに、再び和菓子づくりに関わる縁を得た増田さんは、「三穂の名産であるフルーツと、地域の深い歴史を活かした和菓子づくりを」と起業。地域の旗本大名であった小笠原氏の家紋「三階菱」をイメージした羊羹のほか、8種類の和菓子をできるかぎり添加物に頼らずに製造しています。
「今後は、和菓子販売のほか、三穂を拠点にイベント出店や和菓子出店を行っていきたい」と語る増田さん。山口さんは「気になった点は、事業として利益が出ているかどうか。商品コンセプトがしっかりしており差別化はできていると思うので、商品展開だけでなく、軸となる『売り』の一品の開発や、展示会等への参加をおすすめしたい」、内山さんからは「地域の現状を見ると、和菓子屋さんは後継者不足。せっかくここまで考えてやられているので、他の和菓子屋さんとの連携等が行えれば、飯田の和菓子文化そのものの広がりにつながるのでは」と、期待を込めたアドバイスがおくられました。
増田さんの想いについては、I-Port.bizコラム「僕たちのくらしごとファイル」でも紹介されています(https://i-port.biz/p/6910/)。
■コーチング型学習塾「つばめ学習舎」金田啓之さん
コーチング型学習塾を起点に『地域から飛び立ち、帰って来られる場づくり』をビジネスに
(I-Port.bizインタビューはこちら https://i-port.biz/p/7739/)
飯田市にほど近い阿南町の出身で、2022年妻の荒井尚緒さんとUターン起業を果たした金田さん。飯田高校時代に感じた地域課題の解決をミッションに、南信州地域では珍しいコーチング型の学習塾を運営しています。
「最初はさほど集まらないだろう、と思っていたところ、予想以上に生徒さんに集まっていただき、あわてて引っ越しをしました。これにともない、事業形態も変えてきていて、将来的には『地域から飛び立ち、帰って来られるための場づくり』をめざすための取り組みを進めていきたい」と語りました。
山口さんからの「自身の経験をもとにした事業コンセプトにとの魅力を感じる。生徒さんに飯田の良さを伝えてもらい、選択肢を与えてもらいたい」との講評のあと、内山さんからの「戻ってこられる場づくりとは『必ず卒業をしてしまう』というビジネス上の難しさを抱える学習塾の安定経営も見越した戦略でしょうか」との質問が。
これを受け、金田さんは「塾を卒業した生徒にも、無償で相談に乗り続けることも役割だと考えています。数年後、地元での就職を考えたときにつなぐ役割を果たして行けたら。まだ構想の段階ながら、地域企業と連携した授業も検討していきたい」と回答。内山さんからは「飯田の事業者同士、ともに地域を盛り上げていけたら」と、激励の言葉が寄せられました。
2:起業家ピッチ│一般参加者編
ピッチ後半は、一般参加者による事業プレゼンに。4名中女性の登壇が3名を占め、うち2名が片付けアドバイスに関連する事業となりました。
・「片付けレッスンコーチMiya」金田雅さん
「暮らしを見直し、自分を大切にする」片づけアドバイス事業。
講評:「お話も上手。コミュニケーションを大切に、差別化をはかっていくのが良いのでは」(山口さん)、「定期的にクライアントのもとに通うなど、継続的に収益を得られるビジネスモデルが良いのでは」(内山さん)
・北欧式収納整理プランナー・勝野愛里さん
看護師の経験を経て、北欧式収納整理プランナーに。安定的に集客し、ビジネスとして持続させていきたい。
「開業当初、顧客が指名してくれた理由の分析をしたうえで、SNS等発信を続けて口コミを地道に広げていくのがよいのでは」(山口さん)
「販路開拓は優先順位を決めて、市場の調査をしたり、ターゲットを絞ることがおすすめ。また、ぜひI-Portのメンバーにもマーケティングや販路開拓の仕事をしているメンバーがいるので、ぜひ交流で広げてもらえたら。」(内山さん)
・「株式会社Weblit」大平雄司郎さん
「都市と地方の架け橋へ。」が理念。サブスクによって月額9,980円(税別)からのウェブページ構築・管理を行う。
「サブスクの損益分岐点が気になるところ。ぜひ教えていただきたい分野」(山口さん)
「労働集約型になりがちなweb制作。業務がパンクしないことと、外注の費用の資金繰りが成立すれば地域に喜ばれるビジネスとなるのでは」(内山さん)
・(飛び込み参加)ふるかわゆかさん
子の難病をきっかけに起業。SNSでコーチングと、インナーチャイルドカウンセラーとして活動している。オンラインだけでなく地域でも活動できたら。
「人は何かのきっかけで人生を見直すことがある。ご自身が描くビジョンに向かって頑張ってほしい」(山口さん)
「コーチングで創業をしたいという方、じつは地域でも多い。だからこそビジネスとして持続可能なものになっていくよう、人のつながりをつくりながら展開を」(内山さん)
3:展示コーナー紹介
総勢7名による白熱のピッチ&講評のあとは、会場内に設置されたブースで展示を行う事業者のみなさんからの内容紹介の時間に。
和菓子職人の増田佳世子さんは、ピッチでも話題にのぼったオリジナルの和菓子展示と、力を入れている各種イベントの資料を紹介。IT、シェアアウス、レザー販売と多様な事業を展開する大平雲龍さんは、「南信州をもっと身近に!」をテーマにリリースしたSNSおよび、竹を素材につくるレザー商品の紹介が行われ、参加者は展示された品に触れながら質問を投げかける場面も見られました。
4:小規模/全体交流会
各種発表が終わったら、いよいよ交流会に。まずは小グループのテーブルに分かれ、自己紹介ののち起業家ならではの経営課題や「こんな人知りませんか?」のざっくばらんな対話が活発に行われました。
小グループ交流会の終了後は、参加した金融機関や商工会議所、南信州・飯田産業センターや飯田市共生・協働推進課のみなさんからも自己紹介を経て、会は一旦のお開きに。そのまま会場を解放した任意の「全体交流会」も、多くのみなさんがその場に残り、名刺交換や談話、またビジコンの相談会など充実した時間をすごしました。
会場では「多くの地域の起業家と交流でき刺激になった」という声が聞かれ、アンケートでも「次回があれば一人でも参加したい」という回答が多数という結果に。I-Portビズでは今後も定期的にこのような催しを開催していく予定です。 ちなみに次回は2023年12月を予定。初めての方はもちろん、二度目、三度目の方も、みなさんぜひご参加ください!
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