中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?

このコラムでは「よくあるお悩み相談トップ10」として、10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介します。

第9位は…「新商品を開発したい」です!

新商品開発は、「お客さん目線」を大切に!

 今回のタイトルは「新商品を開発したい」ですが、実際のところ相談に来られる方の大半の状態は「新商品を開発したけれど、どうやって販売すればよいだろうか?」というものです。もう既に、商品そのものは完成している訳です。

 この時に最初にお聞きする質問が「誰のため、何のための商品というイメージを持っていましたか?」ということ。この答えの中に「お客さん目線」が入っていない場合は、残念ながらまず事業として軌道に乗るほど売れるのは難しいです。

 なにを当たり前のことを…と言われてしまいそうですが、地域の相談窓口で相談していると「地域でこの食材が沢山とれるから新商品を開発しよう」とか「当社の技術でこんな強みがあるから商品開発してみた」という考えだけで新商品を開発した、というケースはけっこう多いんです。

 有名なフレームワーク(論理的思考方法)として知られているものの一つに、『3C分析』があります。Company(自社)とCustomer(お客さん)とCompetitor(競合他社)の頭文字をとって3C、この着眼点から先ほどの事例を考えると、3Cのうち1つのCしか考えていないことに気づいてもらえると思います。

もちろん、地域資源の活用や自社の強みの活用も大切です。3Cの1つを構成している訳ですから。光の当て方次第でお客さんのニーズに合致させられる場合もあります。

ただ、せっかく時間とお金と労力をかけて新商品開発を行っていると思いますので、ぜひ最初から3Cの視点、少なくとも「お客さん目線」は頭の片隅に置きながら新商品開発に取り組むことをお勧めしています。

対応策:試してみてから、大きく踏み出す

「そうは言っても、お客さんの反応って実際に売ってみないとわからない」。そんな声も聞こえてきそうです。そんなとき私は、商品・サービスの内容にもよりますが、「試しに売ってみる」という方法をおすすめしています。

飲食業や小売業ならイベントや期間限定で提供するという方法もあるかと思いますし、開発製造そのものに時間とお金が必要な場合には仲間を集めてプロトタイプ機を製造してみるといった方法もあります。すべて自社でリスクを負う必要はないはずです。特段ベンチャー企業などではなく、地方の中小企業や小規模事業者が取り組む場合は「小さく生んで大きく育てる」がセオリーかなと感じています。

設備投資は3年先、5年先を見すえて実施しよう

新商品の開発が完了すると、次に必要なことは量産や事業化のための設備投資です。ところが相談を受けていると、新商品の開発段階で「すでに量産に必要な設備投資を完了させた」というケースを多く耳にします。ちょっとした道具ならともかく、数百万円する機械や製造ライン、中には工場や店舗を新設してしまったなんてケースの相談も多いです。

 設備投資とは言葉の通り「投資」であり、3年先、5年先まで会社に影響を及ぼすことになるものです。

 経営者の方の中には素早く新規事業を立ち上げて2~3年で撤退するスゴ腕の方もいらっしゃいますが、なかなか簡単に真似できるものではありません。新商品に力を入れすぎたために、既存の事業が傾いてしまったというケースの相談にも残念ながら数多く対応しています。

 個人的には、スゴ腕の経営者さんの武勇伝はとても面白くて大好きなのですが、セオリーは「小さく生んで大きく育てる」ということ。お客さん目線を忘れずに、個性豊かで面白い新商品を開発していただければと思います!

いかがでしたでしょうか?次回は第8位「協力してもらえる取引先を探したい」です。

それではまた次回。


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