中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?

このコラムでは「よくあるお悩み相談トップ10」として、10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介します。

第7位は…「PDCAが回せない(事業計画が進まない)」です!社員さんが10人以上いる経営者から受けることの多いご相談です。業務改善や事業を推進する時の考え方の1つであるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルが回らないという相談ですね。

事業計画に書く内容は「緊急性は低いが重要なこと」が多い

 「経営理念をきっちり言葉にした!販路拡大の戦略も考えた!だけど半年も経過したのに何も進んでいない…」という悩みについて、多くの経営者からご相談を受けます。

経営理念も事業計画も動かなければ「絵に描いた餅」。ダイエットの計画だけ作っても動かなければ痩せないのと同じで、現状に何の変化も起きません。

しかし、こうした悩みを抱える経営者さんは仕事をサボっているのでしょうか?そんなことはありません。事業計画が進まない1つ目の理由はむしろ「日々の日常業務が忙しい」というものです。

事業計画に落とし込む内容というのは、上の図のように緊急度と重要度の2軸で分解すると、基本的には「重要だが緊急でない」ものに分類されることが多いです。

今まで取り組まなくても日々の業務そのものは回っていた訳ですから、やらなくても1日や数週間で具体的な害悪が生じることはありません。

むしろ「緊急度が高い仕事」=すぐ対応しないとお客様に迷惑をかけたり、クレームになったりすることの方が優先度は高いですし、その認識自体は間違っていません。

気づいていただきたいポイントは、

事業計画に載せるような新しい取り組みは「意識的に時間を確保しないと遅々として進まない取り組みになる」

ということです。

対応策としては、難しければ1日10分で実施できることでもかまいません。日々のルーティン業務とは別の時間を設けて、とにかく意志をもってコツコツ進めていくことが大切です。

「誰が、いつまでに、何をするのか」まで落とし込む

事業計画が進まないもう2つ目の理由は「社長がやると思っていた」「いや部長がやると思っていた」「まだ始めなくてよいと思っていた」という役割分担や時間軸が曖昧になっているケースです。

事業計画の推進そのものに賛成だったとしても、日々の日常業務に追われて優先度が下がってしまい「誰かが進めてくれるだろう」と思ってしまう心情は理解できますよね。

対応策としては「誰が、いつまでに、何をするのか」まで計画に落とし込むこと。

これをアクションプランと言ったりするのですが、相談会の時には、次のような表にして落とし込んで、社員全員が見えるところに掲示するようお勧めしています。

とくに「誰が」と「いつまでに」を明確にすることは大切です。基本的にこのポイントを押さえておけば、仮に進まなかったとしても「どうしてできなかったのだろう?」という検証ができるようになります。

振り返り(フィードバック)の場を設ける

事業計画はあくまで計画です。すべてのことが計画通りに進むことはありません。だからこそ振り返り(フィードバック)の場を設けることが大切になります。

この振り返りの場についても、前述のとおり「重要だが緊急ではないこと」になるので、よほど意識していないと実施せずに日々が過ぎて行ってしまいます。

対応策としては、きちんと事業計画を進められている企業の大半が行っていることですが「毎月第3水曜日の16:00から1時間行う」というように事前に予定を固めてしまうことです。司会進行やお決まりの共有or協議事項などは「型」をあらかじめ決めておくと、ストレスなくPDCAを回すことができるようになります。

この時に注意したいポイントは、仮に計画通りに進んでいなかったとしても担当者個人を問い詰めるのではなく「なぜ推進できなかったのだろう?」と皆で対策を考えることが重要という点です。せっかく作った事業計画です。みなでフォローし合って推進したいですね。

いかがでしたでしょうか?次回は第6位「補助金を活用したい」です。補助金と言ってもいろいろな種類がありますが、共通しているポイント、もっというと一般的な感覚と異なる「補助金の世界の常識」のような内容も多くあるので、その点を紹介できればと思います。それではまた次回。

(文責)

みすゞ中小企業診断士事務所 内山拓巳


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