長野県中小企業融資制度の「創業計画書」をモデルにしながら、事業計画書の書き方やお役立ち情報を紹介しているこのコラム。第5回目は「資金調達計画」です。起業家のみならず、多くの経営者さんが苦手とおっしゃることの多い「お金に関する説明」に入っていきます!

資金調達計画ってなに?収支計画とは何が違うの?

一般的な創業計画書において、お金に関する計画は①資金調達計画と②収支計画という2種類の計画を求められます。①はひとことで言うと「事業を始めるのに必要なお金の金額とその内容」を説明する計画、②は「いま考えている収入と支出の見込みとその内容」を説明する計画といえます。

私はよく飛行機で例えているのですが、①「資金調達計画」は、離陸~ある程度の高度まで上昇する(事業を始めて売り上げがある程度入り始める)までに必要なお金の様子、②「収支計画」は、その後のお金の計画、というイメージでよいかと思っています。

どこから、どうやって考えればよいの?

最初に資金調達計画の様式をみると「設備資金とか運転資金とかって書いてあるけど、違いがよくわからない」「消耗品を買うのも投資なの?」といったように、そもそも書いてある言葉が理解できず、くじけてしまう方も多くいらっしゃいます。

でも、大丈夫。資金調達計画の様式はあくまでも、「事業を始めるには結局いくらの金が必要で、そのお金はどうやって集めるのか」を説明する道具にすぎません。そのため次の四ステップを踏めば、大まかに書くことができてしまいます。

ステップ1:とにかく事業を始めるために生じると思うお金を書き出す!
ステップ2:①最初だけ発生するお金か②月毎など継続的に発生するお金かで、分ける!
ステップ3:①は設備資金として書き込む、②は運転資金として大体2、3ヵ月程度必要となる金額を表の左半分に書き込む
ステップ4:①+②が「事業を始めるのに必要な金額」なので、そのお金をどうやって集めるかを右半分に書き込む

ステップ1~4に分解して取り組めば、計画を作成するのはそれほど難しくないと思います。ポイントはステップ1で事業をしている未来の自分の姿をどこまで具体的に想像できるかという点で、その想像した世界の中に登場するモノや費用が「生じると思うお金」と言えます。

例えば飲食店を始める場合、厨房設備が必要になるでしょう、お店を借りる場合は家賃も必要でしょう、材料費も必要ですし、自分自身やスタッフのお給料も、テーブルなどの什器も必要になる・・・といったように、具体的に想像できれば想像できるほど、資金調達計画の精度も向上します。金額がわからなければ概算で問題ありませんし、インターネットや業者に聞くなど調べてみるのも準備の一環です。

限りあるお金の中で資金調達計画を作成する際のポイント

「とにかく書き出す」と言っても、最初に使えるお金には限界があると思います。しかし迷いながら書き出の作業をしていては筆が止まってしまいます。そこで、創業相談の時には下の表のように、まずは「①必要と考えられるもの」をとにかく書き出してもらい、一通り書き出したあとに「②なぜ必要か」という項目で優先順位をABCで分けてもらっています。こうした手順を踏むことで、たとえば「AとBなら予算内に収まるけれどCまでいれると予算オーバーなのだな」といった具合に、無理なく具体的に資金計画を考えることにつなげられます。

今回は以上です。まずは事業を行っている姿を具体的に想像すること、そのうえで必要なものを書き出して優先順位付けを行うことがポイントだと思います。

次回は「収支計画の作成の方法」の説明になります。お楽しみに!


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