今回お話を伺ったのは、長野県下伊那郡阿智村出身で、飯田市天龍峡エリアの全国の空き家を活用した「多拠点生活プラットフォームサービス」を提供する原 岳さん。「株式会社アドレス(以下アドレス)」に所属しながら、自身で地元の阿智村で民泊事業を行っています。Uターン後の働く場所として、原さんは現在、龍江のコミュニティスペース兼シェアオフィスのHIGASAをよく利用しており、そこで出会った仲間たちとの交流が、日々の仕事や生活に程よい刺激を与えてくれているといいます。

「ここに帰って来るべくして来たんだと思う。」と語る原さんが地元へ戻り、どんな日々を送っているのか、Uターンの背景や働き方の変化、そしてこれから地元でどんな未来を描いているのか伺いました。

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出身地 長野県下伊那郡阿智村
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現居住地 長野県飯田市
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Uターン歴 4ヶ月(2025年7月にUターン)
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仕事/暮らし 株式会社アドレス/シェアハウス・シェアオフィス
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━━現在は どんなお仕事をされていますか?

ADDressという多拠点生活プラットフォームサービスを提供している株式会社アドレスで、公共政策や自治体との連携事業を担当しています。

━━Uターン後はどちらに住みながら、仕事をしていますか?

現在は川路にあるシェアハウス「百花堂」に住みながら、会社の業務は龍江のシェアオフィス「HIGASA」で行っています。地元の阿智村でも自分で立ち上げた民泊事業を行っているので、そちらとも行き来しています。

━━Uターン前はどのような働き方をしていたのですか?

Uターン直前は福岡に住んでいました。仕事内容は今と同じ会社に所属していましたが、フルリモート勤務だったので、自宅かコワーキングスペースで働いていました。

━━ Uターンのきっかけはなんですか?

地元に改めて興味を持つようになったきっかけは、Uターン直前に参加した渡邉くん(筆者)が開いた地域のUIターンの若者を集めた飲み会でした。そこで、 「地元にこんなに新しい動きをしようとしてる同世代がいたんだ」とびっくりして、地元も面白いかもと思うようになりました。

地域の仲間たちで開催した飲み会からの帰り道

そんな中でUターンの決め手となったのは、地元阿智村で、父親が所有している空き家を活用して始めた民泊事業でした。民泊を始めたことで、“自分の手で何かをつくるおもしろさ”を感じるようになると同時に、その地域に対して当事者として関わっている感覚が生まれてきました。
その気持ちが強くなったときに、地元にもきちんとコミットしたいと思うようになって、Uターンを決めました。

━━ 福岡ではどのように過ごしていましたか?

福岡にADDressと提携していたゲストハウスがあったご縁で、福岡のゲストハウスコミュニティとも仲が良くて楽しく過ごしていました。 自分でスポーツサークル(ピックルボール)を立ち上げたりして、毎週のように仲間と練習したり交流をしていました。

━━ 飯田に帰ってきてからはどんな人間関係を築いていますか?

今は、同じシェアオフィスHIGASAに集まっているメンバーとの距離が圧倒的に近いですね。
それぞれ違う仕事をしているけど同僚みたいな空気があります。
一緒に仕事しているわけじゃないのに、“チーム感”みたいなものが自然と生まれている感じがして、その距離感の近さが、仕事のモチベーションや質にも良い変化をもたらしています。

シェアオフィスでは自然と交流が生まれる

━━ Uターン後の精神的な変化はありましたか?

地元に戻って4か月くらいなんですが、“過去の自分と和解した”ような感覚があります。尖っていた頃の自分も含めて、過去を受け入れられた感じがありました。
そのときに、「ああ、自分はここに帰って来るべくして来たんだな」って。
コロナも含めて、いろんなタイミングが重なって今ここにいるんだと素直に思えたんです。

━━ 地元を客観的に見たとき、どんな課題や可能性を感じましたか?

いろんな地域を見てきたあとで改めて飯田下伊那を見ると、まず歴史も文化もめちゃくちゃ深い地域だなと感じます。 これからリニアも通るし、立地もすごく良くなる。
ただ、地域としては良くも悪くもまだまだ空白が多いようにも見えました。

━━ 真っ白なキャンバス感がありますよね。

そうそう! これからいかようにも描けるし、まだまだ自分たちの手で楽しくしていける余白が残っている。“全然捨てたもんじゃない、むしろ恵まれている地域だな”と感じました。

━━ では、そんな地元で挑戦してみたいことは?

民泊というスモールビジネスを始めたことで、街への当事者意識が強くなりました。
消費者として街を使う側じゃなくて、生産者側・つくる側に回る感覚が、おもしろかったです。

原さんが運営する阿智村の民泊「星空ロッヂ

で、その感覚を、もっと多くの地方を地元に持つ人たちに共有できないかなあと思っています。

別に民泊じゃなくてもよくて、ヨガでもコーヒースタンドでも、プログラミング教室でもいい。
地方は初期費用も東京ほどかからないし、まだまだブルーオーシャンです。
お金だけじゃない価値もちゃんと味わいながら、小さく事業を始めてみるにはすごく良い環境だと思っています。地方だと、空き家を活用していること自体に価値があるみたいな視点も生まれます。
お金だけでは測れない価値を考えながら動けるのは、地方ならではの面白さだと思いますね。

━━  Uターン後に大事にしている暮らしのルーティーンはありますか?

最近はシェアオフィスのメンバーたちと飲むのが定番化してますね(笑)
あと個人的なルーティーンとしては、仕事終わりに暮らしている天龍峡のシェアハウスから天竜川沿いを歩いてコンビニまで行くのが好きです。車がなくてもできるし、むしろ車があっても歩きたくなるくらい、あの道は気持ちよくて。

現在原さんが過ごしている天龍峡の風景

━━  都市に拠点を置く会社に勤めながら、地元の飯田で働きたいと思っている人にメッセージを。

べつに「みんなこうしたほうがいいよ」っていう一般論を言いたいわけじゃないんですけど、もしちょっとでも飯田下伊那出身で地元のことが気になってるなら、まずは一回、今僕らが使っているシェアオフィスやシェアハウスに気軽に遊びに来てみてほしいですね。やっぱり、実際に帰って過ごしてみないとわからない感覚があります。一度外に出て都会を知ったうえで、 それでも地元を“おもしろくしよう”って動いてる人たちが普通にいる。これは、外からSNSとかで見てるだけじゃ全然実感できないと思います。

時代的にも追い風が来てると思っています。国として拠点分散とか多拠点居住を推してる流れがあって、 働き方の制度も整ってきてるし、今はけっこういいタイミングなんじゃないかなって感じます。

これから数年で、地方と都市の関係ってもっと変わっていくはずなので、その変化のど真ん中に、一度自分の足で触れに来てもらえると、 たぶん見えるものが全然違うんじゃないかなと思います。


原さんの運営する民泊「星空ロッヂ」

概要/ご予約は以下から▼

airbnb.jp/h/starry-lodge


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