前回の星さんご夫婦からご紹介いただいたのは、
飯田市・天龍峡エリアでりんごや桃、ぶどうなどを栽培する果樹農家であり、観光農園としても多くのファンを持つ「たつみ農園」を経営する松尾明則さんです。
りんごの花が咲き、その木々の向こうには飯田の町並みがと中央アルプスを見渡せる丘にある「たつみ農園」におじゃましたのは、4月の終わり。
94年続く農園の4代目として、新しいことに挑戦しながらの日々のお話を、松尾さんに伺ってきました。
「無駄な時間にしたくないから、体力や精神を鍛えるためと思って楽しんでやっています。無心でやるから考える時間にもなるし」と、想像を越えるお話でした。
松尾さんが就農した13年前は、りんごの割合がほとんどを占めていたこの農園ですが、
「りんごって、木に実っている期間が長いから、病気や虫、台風など天候の被害も受けやすい。そのリスクを分散させなければいけないし、なにより新しいことへの挑戦は楽しいから」
と、桃やぶどうの栽培もスタート。りんごも新しい品種の栽培を手がけるなど、新しい可能性を日々、切り開いていることが伝わってきます。
10年前から自家用として始めたぶどうの栽培も、5年前からはシャインマスカットやクイーンルージュ等の種無しぶどうにも本格的に着手。今年からはたつみ農園で、ぶどう狩りを楽しむ事ができるようになりました!
りんご狩りに来たお客さんが、見下ろす位置にあるぶどう畑。そんな畑を眺めながら、昨年は「これからは、ぶどうも楽しめますよ~」と会話されたり、楽しみにしているお客さんの声も聞かれたのだそうです。
観光農園として、りんご狩りやぶどう狩りを楽しむことのできるたつみ農園では、「この空間で笑顔になって欲しい」との思いから、園内にテントやハンモックを用意。果樹園の中でピクニック感覚でのんびりとすごせるだけでなく、きれいな水洗トイレも設置されていたり、気軽に快適に過ごせる工夫があちこちに凝らされています。
お楽しみの工夫は、りんごにも。
赤く実ったりんごの中には、オリジナルデザインのイラストが入ったもの(日焼けシールを一つずつ貼って作っているもの)が混ざっており、宝探しのように楽しみながらりんご狩りをして貰えるのだとか。
その場に行かないと味わえない、細かくも楽しい工夫が随所に散りばめられた「たつみ農園」の空間は、年々パワーアップしながら広がっています。
「地域のことをもっと考えられる人が増えたらいいな。と、僕はやっぱり地元が好きなんですよね。若い人が帰ってこない原因の一つが大人たちが『ここにはなんもない。』って言ってしまっていて。そうじゃなくて、飯田って龍江っていいところだって誇れるように、いろんな人と関わり合いながら動いていきたい」
そう話す松尾さんのもうひとつの顔は、「りんごと光のフェスティバル」実行委員長。
りんご畑をライトアップしながらマルシェや音楽ステージ等を楽しめる催しとして開催されているイベント。4月に行った際の会場は、満開のりんごの花の中での開催。
初回の冬開催の際には、airbnbさん等の外部の協力を得てアイデアを膨らましながら、春の開催では地元のメンバーのみでもパワーアップしながら。
地元の人も「気持ちよい環境でのイベントが楽しい。」「はじめてりんご畑に入りました!」と、大好評!
さらにさらに、地元生産者のグループ「龍江の想い」として、保育園や小学校に栽培の先生役を積極的に担っているのも、「子どもたちに農業ってかっこいいと思って欲しいし、りんごの里で育っていることを誇りに持って欲しい。」という思いから。
農園でのお仕事、地域のことにも取り組み、家族との時間も大切にしたい、そして、新たに学び挑戦し続けたい。
「24時間じゃ足りないし200年生きたい!」と話をする松尾さんの日々は、ギュギュッと濃縮されていて、驚くことばかりでした。
生まれ育ったこの土地を、そこで暮らす人を大切にしながら農園や自らの活動を膨らませ続けている松尾さん。
農園の今年のオープンは、9月7日(土)とのこと。皆さん要チェックです!
農園のことも、天龍峡での楽しい催しも、SNSでも是非チェックしていただければと思います。
私もこの秋、美味しい果物とのんびりピクニック気分を楽しみに、おじゃましたいと思っています。
飯田に関わりのある15名の皆さんの、「仕事や暮らし」のお話を伺ってきたこのコラムですがこちらで最終回となります。
飯田という街をそれぞれの目線で親しみを持ちながら暮らす皆さんから、飯田での日々を知ることはもちろん、自分の暮らしの身の回りのことを見つめ直す良い機会をいただけたと思っています。
こちらを読んでいただいた皆さん、是非これまでに掲載させて頂いている14名の皆さんのお話もチェックしていただければ幸いです!
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