今回インタビューを受けていただいた熊谷彩香さんは飯田の出身。東京にてアパレルデザインの専門学校に3年間通ったのちにWEBメディアで編集者やフリーライターとしてのお仕事をされていました。ライターとしての取材撮影の経験をもとに現在は、クリエイティブ制作を行う株式会社ホワイトラストをフリーランスの動画クリエイターとして活動していた服部さんともに立ち上げ、写真・動画・デザインなど様々な制作業務を行っています。

「自分にはやらなければいけないことが沢山あるんです。1秒も止まることはできない。やりがいというかもはや使命感ですよね(笑)。」と語る熊谷さんが、飯田で働きながら一体どんな暮らしをしているのか伺ってきました。

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出身地 飯田市
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現居住地 飯田市
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Uターン歴 1年半
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仕事/暮らし クリエイティブ/地元愛
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━━飯田を出てからは何をしていましたか?

東京にてアパレルデザインの専門学校に3年間通っていました。

専門学校卒業時には就職氷河期で全く内定がもらえず、アルバイトなどを続けていました。25歳くらいからは東京のWEBメディアにて編集の仕事をしつつ、フリーのライターとしての仕事を始めました。学生の頃から小論文や読書感想文が得意だったこともあり、今まで感じたことのなかった「求められていることに応えられている」という感覚を味わいました。

また、WEBメディアの仕事ではインタビューを行うことがよくあり、学生時代からの趣味だった写真撮影の知識も役立っていました。ここでの写真撮影の経験が、後々のUターン後の自分の生活に大きく関係するようになります。

━━最初に就いたお仕事はなんでしたか?

最初に就いた仕事は広告会社のアパレル部門で、アパレル製品の販売や企画業務補佐をしていましたが体調を崩し、辞めることになりました。その後、WEBメディアの仕事で培った経験を生かし、インタビュー記事の制作などを手がけました。

ライターや広告制作などクリエイティブ分野で幅広く経験をされてきた熊谷さん

━━Uターンしたきっかけはなんですか?

飯田市にUターンしたきっかけは、出産とコロナ禍が重なり、自分の考えが180度変わったからです。それ以前は、他人と比較したりや周りに自慢できる仕事ができているかなどに焦点を当て、他人の時期を中心に物事を考えていました。しかし、その考え方に疑問を抱くようになり、「何の”ため”に〇〇をするのか?」という本質的な問いについて考え始めました。

自分の行動や選択はすべて、「楽しいから」「自分がやりたいから」「他人に好かれたいから」「お金を得たいから」のように、目的が明確でないと無益で、進むべき方向を見失うことになると気付いたんです。

また2023年に公開された宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』を観たことで、生きていること自体が素晴らしいと感じつつも、生まれてきたならば目的を持ち、見つからない場合はがむしゃらになって探しにいくべきだと、確信が芽生えました。

そして、生きる目的や働く理由について考える中で、私にとっての目的は自分や大切な人々が住む社会・自分を産み育ててくれた地元を良くするために考え、働き、活動をしていく、ということだ、と強く感じるようになりました。

「何のために何をするのか?」に向き合う日々

━━飯田市を出る前は、地元に対してどんな印象を持っていましたか?

元々、常識や当たり前と言われていることに対して「なぜ?」と考えるタイプだったので、地元に対して「店や娯楽施設が少なく、やりたい仕事がない。」「閉鎖的で古い慣習に縛られていて、経験や知識のインプットができない。」などネガティブに思っていました。周りから見たらだいぶ非常識人に感じられたと思います。その中で自分が非常識と揶揄されるのが嫌でしたし、常識を正しいと信じて疑わない人も苦手でした。

子どものころは、なんとなくそんな雰囲気を感じていたのかもしれません。周りの人は好きだったのでこれは単純に被害妄想だった可能性がありますが(笑)

━━帰ってきてから、以前の飯田市への印象から変わった点は何ですか?

飯田への印象が変わったというより、自分の考えが変わったという方がしっくりくる気がします。
何でもはないけど自分の暮らしにとっての必要最低限は揃っているし、やりたい仕事がなければ自分で作ればいい。何をやるのかではなく、なぜやるのかの方が大切と考えるようになりました。地元の閉鎖的な印象も、歴史を知り、未来の構想につなげる可能性を見出すようになりました。
また、知識や経験のインプットをしたいなら都会にその都度出かければいいし、古い慣習に縛られていた印象だった地元も時代の流れとともに少しずつ変わっているんだなと感じています。

━━現在どんなお仕事をされていますか?

会社としては写真・動画・デザインを使い「こと」「もの」のクリエイティブ制作を行っています。会社のビジョンは「デザインを使いこなし、誰かを呼びたくなる地域をつくる」。

こと・ものをデザインし、さらには人々の生活までデザインできればいいなと。

もちろん受注案件もお受けしていますが、来年からはさらに地元のための自社事業に力を入れていきたいと考えています。

具体的には、フォト事業やアニバーサリー事業を通して、地元の産業や観光を盛り上げていけるような企画を進めています。

株式会社ホワイトラストでは、フォトグラファー・デザイナーとして活動をしている。

━━現在のお仕事に就いたきっかけはなんですか?

代表の服部との出会いで、自分の考えを実現するために会社を始めることになりました。自分は会社の立ち位置としては一社員ですが、常に考え方やビジョンを受け入れてくれる服部、そして自分の苦手分野をカバーしてくれるメンバーにはとても感謝しています。

━━現在のお仕事のやりがいはなんですか?

いろんな社会問題を目の当たりにするたびに、自分にできることは何かを問う。そしてその問題を解決するためのプランを考える。実現に向けて何が必要か会社のメンバーと共に構築する。

自分にはやらなければいけないことが沢山あるんです。1秒も止まることはできない。やりがいというかもはや使命感ですよね(笑)。

自分はシングルマザーなんですが、家族や会社のメンバー、行政にかなり助けられていて、それで成り立っているところもあるので、なおさら社会に貢献していかないといけないなと思っています。

━━暮らしのなかで大切にされていること、またはライフワークなどありますか?

今後、地元のロケーションを活かした自社事業を考えているため常に地元の自然に注目しているのですが、自然環境の変化に危機を感じています。暮らしでもそうですが、会社としても、産み育ててくれたこの自然を守っていくことに、まだまだ配慮が足りないとは思いますが、努力していければと思います。

また、無理をしないというのが自分のモットーです。若い頃に頑張りすぎて体を壊し逆に何もできなくなった経験があるので。やるべきことが多すぎて1秒も止まれないと言いましたが、私の中では休む時間も含めて自分の仕事。しっかり寝て、やりたいことも我慢しません。

たとえば自分は相撲が好きなので、大相撲が始まったら16時には必ずテレビの前にいますね(笑)。それは絶対に譲れません。

社会や地域のためにやるべきことは沢山あるということを次世代に伝えたいと語る熊谷さん

━━この地域で今後やってみたい事、または今後のお仕事の展望など教えてください。
自分も、10代のころは沢山迷いました。なんとなく流れに乗って、自分が「何者」であるかを必死で探して、人の価値観に左右されて…でもそうじゃなくていいと。

社会や地域のためにやるべきことは沢山ある。次世代に残したい未来を考えることは、ここに住む自分たちにしかできない。アメリカの大統領は何もしてくれない。

そんなことを次世代だけでなく、同世代の迷っている人にも知ってほしい。そして自分という存在の価値を上げていける人が増えていったらいいなと思います。

株式会社ホワイトラストは、クリエイティブデザインの会社ではありますが「Design for your living」=人々の生活をもデザインしていきたいと考えています。

私たちの考え方に賛同してくれる方が増えれば、さらにより良い地域社会を創造していけるのではないか。そう感じています。


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